AIポスターのための書体用語集:「いい感じのフォント」ではなく「ハイコントラストのセリフ体」と言う
画像モデルは「いい感じのフォント」を読み取れません。書体デザイナーの言葉と、Ideogram V4.5 や Flux 3 で見出しを正しく描かせる書き方を紹介します。

画像モデルに「いい感じのフォントで」とポスターを頼むと、これまで見てきたあらゆるポスターの平均、つまりこれといった特徴のない中間の太さのゴシック体が返ってきます。看板職人に同じことを頼めば笑われるでしょう。解決に魔法の呪文は要りません。書体デザイナーどうしが使う語彙を使うことです。文字の姿はその言葉で語られてきたものであり、モデルは物事の言い表し方にいちばんよく反応するからです。
ここではその語彙の簡単な手引きと、画像の中の文字を正しいスペルで出すための三つの習慣をまとめます。ライブのポスター、書籍カバーのモックアップ、店のウィンドウなど、画像の中に収まる文字を想定しています。
フォント名ではなく書体の系統を指定する
フォント名を入力すると近い結果が出ることもありますが、モデルはファイルを読み込んでいるのではなく、雰囲気を合わせているだけです。形を言い表す系統の言葉のほうが確実です。覚えておく価値のあるものを、読み手に与える印象とともに挙げます。
- グロテスク系サンセリフ:少し不揃いでぶっきらぼう。20世紀の街角の標識やレコードジャケットの趣。実直で切迫感がある。
- 幾何学的サンセリフ:円と直線でできた、丸い O と一階建ての a。すっきりして現代的、やや冷たい。
- ヒューマニスト系サンセリフ:手書きのリズムを持つ文字。親しみやすく、じっくり読ませたいものに向く。
- オールドスタイル・セリフ:やわらかいブラケット付きのセリフと穏やかなコントラスト。書籍、ワインラベル、落ち着き。
- ハイコントラスト・セリフ(ディドン体):極細の線と太い線の対比。ファッション、オペラ、高級に見せたいもの全般。
- スラブセリフ:太く四角いセリフ。西部劇の手配書、農産物直売所、金物店。
- ブラックレター:詰まって角張った中世風。メタルバンドや新聞の題字で、その中間はほとんどない。
- モノライン・スクリプト:一定の太さの線でつないだ筆記体。ダイナー、カフェ、サイン。
- ステンシルとコンデンスド・ゴシック:縦長で細く、叫ぶような文字。木箱、抗議のバナー、ツアー日程。
- 等幅:どの文字も同じ幅で、タイプライターや端末のよう。メモ、レシート、テック系。
次に、文字そのものを描写する
系統はジャンルです。そのジャンルの中で声色を調整するのが、さらに四つの言葉です。ウェイト(ヘアライン、ライト、レギュラー、ボールド、ブラック)、幅(コンデンスド、標準、エクステンデッド)、コントラスト(太い線と細い線の差が小さいか大きいか)、字間(タイト、ルーズ、「ゆったりトラッキングした大文字」)です。「エクステンデッドのブラック・グロテスク、字間は詰める」と「ライトなコンデンスド・グロテスク、トラッキング広め」は、同じ系統でありながら正反対のポスターになります。
大文字か小文字かも重要で、モデルはたいていそれに従います。見出しを大文字にしたいなら、引用符内のテキストを大文字で書きます。スモールキャップスや小文字にしたいなら、そう書いてください。引用した文字列の大小を、説明文で変えてもらおうとしないでください。
テキストは引用符で囲み、短くし、位置を伝える
モデルのスペルがいちばん安定するのは、言葉が正確に引用され、少なく、置き場所が決まっているときです。単語が一つ増えるごとに、文字が入れ替わる機会も一つ増えます。プロンプトを書く前に文字数を数えましょう。見出しは一語から三語なら安全圏、サブタイトルは数語ならたいてい通り、段落ぶんの小さな文字はそれらしいでたらめになります。小さな文字は後から自分で組んでください。
温かみのあるクリーム色の紙に、深緑のインク一色で刷ったレタープレスのポスター。見出しは "HARBOUR LIGHTS"、縦長のコンデンスド・グロテスク、すべて大文字、字間は詰め、上三分の一に配置。その下に、小さくゆったりトラッキングしたモノラインの大文字で "A SMALL FILM NIGHT" の一行。下の三分の二は何も描かない紙の余白で、細い水平の罫線を一本だけ引く。階層は三段階まで、四段階にはしない
部屋の向こうからでも伝わるポスターには階層があります。最初に読む見出し、それを説明する二行目、実用情報を載せる小さな一行です。ちょうどその三つを頼み、上のプロンプトのようにそれぞれ別のスタイルを割り当ててください。四行、五行と競わせると、モデルはどれも同じ大きさにならしてしまい、ポスターは灰色にぼやけます。日付や住所が必要なら、レイアウトの段階で自分で入れましょう。数字を一つ間違えたときの代償がいちばん大きい行だからです。
どのモデルで、どの設定か
Ideogram V4.5 は、タイポグラフィ、構図、品質を軸に作られていると説明されており、文字が主役の画像で最初に試すモデルです。設定はシンプルで、品質の段階(低、中、高)、サイズの段階(1k または 2k)、正方形から 9:16 までの比率の一覧があります。詳細設定の下にあるプロンプト拡張のスイッチは、初期状態でオフです。正確な言い回しを試している間はオフのままにしてください。拡張されたプロンプトは、もう自分が入力したプロンプトではないからです。
Flux 3 も説明にタイポグラフィが挙げられており、比率の幅が広く、出力は 1k、2k、4k から選べます。設定には 4K に数分かかることがあると書かれています。おすすめの手順は、低い段階で言い回しを試し、気に入ったレイアウトを選んで、そのプロンプトに一度だけ高い段階を使うことです。料金は押す前に生成ボタンに表示され、最初のチャージは €3.00 からです。
1920年代の劇場プログラム風の縦長の演劇ポスター。タイトル "THE LAST TRAM" は黒のスラブセリフで、インクにむらがあり、縁に少しにじみがある。その下に、細めのヒューマニスト系サンセリフで "EVENINGS AT EIGHT"。年季の入ったアイボリーの紙、赤と黒の二色刷り、下部に小さな路面電車のシルエット。これにできないこと
モデルが描くのは文字であって、組版ではありません。正確なカーニングは保てず、同じフォントを二度確実に出すこともできません。アクセント付きの大文字や、ラテン文字以外の文字体系は、とくにスペルが崩れやすい部分です。長い単語は途中の一文字が落ちることもあります。印刷に回す前に、引用した文字列を一文字ずつ確認してください。ポスターが最終版なら、生成結果は絵として扱い、本物の文字はレイアウトツールで上に載せましょう。このスタジオが渡すのは画像ファイルであり、フォントでもレイアウトでもありません。
よくある質問
AI画像に見出しを正しいスペルで描かせるには?
正確なテキストを引用符で囲み、数語にとどめ、大文字小文字を指定し、置く位置を伝えます。低い段階で何通りか生成し、一文字ずつ確認してください。小さな文字や住所は、レイアウトツールで後から足すのが確実です。
フォント名を指定して頼むことはできますか?
できますが、得られるのはそのフォントではなく近似です。系統(グロテスク、スラブセリフ、ハイコントラスト・セリフ)、ウェイト、字間を描写するほうが確実です。
ポスターの文字に向いている画像モデルは?
Ideogram V4.5 と Flux 3 は、どちらも強みとしてタイポグラフィを挙げています。同じプロンプトを両方で試し、言葉のスペルと字間がよいほうを選んでください。