ある午後、架空のロースタリー:AIでブランドアイデンティティボードを作る
実在しないコーヒー焙煎所の制作ブリーフ。参考画像でスタイルを固定し、マークを描き、ワードマークを試し、袋をモックして、ボードにまとめます。

火曜日に届くブリーフを想像してください。Tern & Ember という、実在しないロースタリーが豆を通販していて、その日のうちに一枚のアイデンティティボードが欲しいといいます。マーク、ワードマーク、パレット、パターン、そして袋に載せたときの見え方。スタジオに頼む予算はありません。問いはシンプルです。AI生成で一つの午後にどこまで行けて、どこで鉛筆を取り戻すのか。ここでは、私ならこう進めるという作業の順番を、プロンプトと各段階での確認ポイントとともに紹介します。
以下はあくまで実行する計画であり、完璧な結果の報告ではありません。生成は実行のたびに変わります。各ステップで大事なのは、期待することではなく、何を見るかです。
1時間目:ブリーフを五行で書く
スタジオに触れる前に、書き出します。名前、三つの形容詞(たとえば、温かい、正確、少しひねくれた)、二つの色、ブランドの核になるもの一つ(紙の下で光る燠火、飛んでいる小さな鳥)、そして絶対に似てはいけないもの一つ(漫画、海賊、コーヒーショップの紋切り型)。最後の一行がいちばん役に立ちます。この五行をこの後のすべてのプロンプトの冒頭に貼れば、どのツールの助けを借りる前から、アイデンティティがまとまり始めます。
参考画像からスタイルを固定する
雰囲気を伝える画像を最大十枚集めます。自分のスケッチ、持っている印刷物の写真、紙の質感のスキャンなど。他人のロゴは参考にしないでください。そのうえで Recraft V4 Create Style を実行すると、それらの画像が再利用できるスタイルIDになります。ベーススタイル(any またはベクターイラスト)と、一致の設定(precise または flexible)があります。まずは precise から始めましょう。
Recraft V4 Style Text to Vector は、そのスタイルID、または参考画像そのものと、プロンプトと比率を受け取ります。IDができれば、この後のすべての素材が同じ視覚ルールから描かれます。スタイルの固定はばらつきを狭めますが、なくしはしません。生成し直す前提でいてください。
マーク:八回試して、テストは一つ
翼の下に小さな燠火が光る、飛んでいるアジサシのシンプルなエンブレム。無地の暗い背景にアンバー一色、大胆なベタの形、中央配置、左右対称のバランス、文字なし、グラデーションなし、輪郭線なし選ぶには、目を細めるテストを使います。八つすべてをブラウザのタブのアイコンの大きさまで縮小します。それでも見分けがつくマークが、袋にも、スタンプにも、SNSのアイコンにも使えるマークで、それはたいてい最も描き込まれたものではありません。どれも残らないなら、テストではなくプロンプトを単純にしてください。
ワードマーク:三つの書体系統、引用したテキスト
アンパサンドの入った名前は、間違いが起きやすい典型です。早めに Ideogram V4.5 で試しましょう。強みとしてタイポグラフィが挙げられているモデルです。テキストは引用符で囲んで短く保ち、実行ごとに変えるのは書体の系統だけにします。
温かみのあるクリーム色の紙に、"Tern & Ember" と読めるワードマーク。ハイコントラストのセリフ体、字間は詰め、ダークブラウンのインク、中央配置、周囲に十分な余白、フラット、ほかの要素なしパレットとパターン
まず色見本の帯だけを頼みます。深煎りからクリームまでの、五つのフラットな長方形。次に、その色だけを使った、小さな豆と燠火の繰り返しパターン。ジェネレーターの色は近似です。デザインツールで色見本をサンプリングし、コードは自分で書き留めてください。今日以降、アイデンティティ全体が拠って立つのは、そのリストだけです。
マークを載せた袋
次はモックアップです。Nano Banana 2.1 Edit は最大14枚の参考画像を受け取り、1k、2k、4k で出力できます。マーク、ワードマーク、無地の紙袋の写真をまとめて渡し、どれをどこに置くかを指示できます。
一枚目の画像のエンブレムと二枚目の画像のワードマークを、三枚目の画像のクラフト紙のコーヒー袋の正面、ラベル部分の中央に配置し、ダークブラウンのインクで刷る。自然光とやわらかい影、袋の形と折り目は変えないボードをレイアウトする
組み立てはスタジオではなく、レイアウトツールで行います。六つのタイルのグリッド。大きなマーク、その下のワードマーク、コードを手で打ち込んだ色見本の帯、パターン、袋、そして声を表す一行(「ゆっくり焙煎、すばやくお届け」)。ボードは意思決定の文書ですから、決まったことと、まだスケッチのままのことを区別して書き添えてください。
それでも自分でやること
生成されたマークは、クリアランスの済んだ商標ではありません。似たマークが存在するかもしれないので、使い始める前に登録簿を検索してください。同じスタイルIDでも、ピクセルまで同じ形が二度出ることはないので、最終のマークは手で描き直すか整えることになります。生成された文字はスケッチで、ベクター素材はノードの確認が要ります。スタジオが渡すのは、作業の土台になる画像とベクターです。判断、書体、法的な確認はあなたの手に残ります。印刷に向けた絵の準備については、単色刷りのための八つのルールを参照してください。
よくある質問
AIでブランドアイデンティティ一式をデザインできますか?
各パーツの下書きはできます。マーク、ワードマークのテスト、パレット、パターン、モックアップです。選び、描き直し、確認し、使用して問題ないかを確かめるのは、これからも人間です。
ロゴやパターンのスタイルを統一するには?
自分の参考画像を最大十枚使って再利用できるスタイルを作り、そのIDを毎回の生成で使います。一致の設定で、結果がどれだけ忠実に従うかを調整できます。
AI生成のロゴは商標登録しても安全ですか?
自動的に安全とは限りません。まず商標登録簿で似たマークを検索し、商用で頼る前に専門家に相談してください。